鈴豆そうさく日記

自作イラストやドールドレスの紹介、日々の片付けや独り言などゆるゆる綴っていきたいです。

清水玲子「秘密」7巻ネタバレレビュー

こんにちは、鈴豆です。

マンガparkのボーナスコインをチマチマ貯めて、やっと清水玲子先生の「秘密」第7巻読みました!!

bookmeter.com

「この巻だけでも読んで!!」というレビューの通り、最高に面白かったです。これだけで一本のサスペンス映画で成立するんじゃないかしら?

一応前知識として、

「2060年代の近未来設定で、この時代には『死者の脳』をスキャンすれば、その人が目で見た映像を過去5年まで遡って見ることが出来る」

「主人公は一件美少女だけど、超エリートの30代男性警官・第九室長」

「薪は部下の青木の事をとても大切に思ってる」

「青木には雪子という婚約者がいる」

位を頭に入れておけば、この巻だけを読んでも、一冊で一つのストーリーになってますので大丈夫かな(「脳のスキャン技術」以外はほぼ現代と同じ社会情勢)、と思います。

簡単なストーリー…のつもりがかなりのネタバレを含みますので、苦手な方は回れ右で…。

千堂外務大臣の娘が拉致されて、外国船籍のコンテナ船に監禁されるところで始まります。

容疑者が警察の前で自殺した事で、捜査の権限は「第九」に移る。容疑者の脳の画の再生により、拉致の状況から、10日以内に助けなければ餓死する可能性大。

自殺した犯人女性は、20年前に起きた「デルナ集団拉致事件」の被害者遺族。デルナという国(市名?)に行った医療援助隊22人の日本人が拉致され殺害された事件の時、交渉の最高責任者が千堂大臣(当時の「中東アフリカ局長」)でした。この事件はデルナの「国家犯罪」の可能性があったにも関わらず、国交断絶や国際世論を恐れて、被害者の捜索は非情にも打ち切られたのでした。

犯人の動機は「千堂への復讐」。

千堂は「外務大臣の娘じゃ無ければ誘拐されなかったのだから、外務大臣の力を使って何が悪い」

と職権乱用しまくりで勝手に海保を動かし相手の船に停船命令、果ては威嚇射撃までさせて強引に止めさせる。

相手の船は、日本との国交が無く、政情不安や核開発疑惑などがあり、下手に刺激すると日本に核を落とされるかも…くらいヤバい国「エルスエコ」の物でした。その為、周囲から散々「前例がない」「公私混同」等言われても無視。どんな事になろうが自分の娘である「咲」は助けると息巻く大臣。

デルナの時は人命より国交を優先させた大臣、「自分の娘」を助ける為ならば、自分の政治生命が終わろうが(核を落とされようが?)構わないと、ズンズン強行突破していくのですが、「咲」の母親の証言により、コンテナ船に監禁されているのが「咲」ではない、身代わりの女性だと判明。

また、犯人女性の脳から、共犯者(主犯者)も明らかとなり、「咲」の救出も間近とであるかに見えました。

それを知らせて、大臣の独断を止めて、「手順を踏んで各方面に協力を要請し安全に少女を救出すべき」と進言した薪さん(主人公)でしたが、大臣は「自分の娘じゃない」と知るや否や急激な手の平返しで、捜査活動中止・撤退を、薪さんの制止を振り切って速攻で指示してしまいます。

「どこの誰ともわからないたった一人の命を救うためにほんの少しでも国家の安全が脅かされる事になってはならない。」「そうやって国の安全をまもったとなれば犠牲になった命もうかばれるというものだ」

余りの物言いに薪さんは「外務大臣の職を辞すべき」と言います。人命の保護は当たり前のことで、それで予想可能な争いの火種を避けるだけの外交能力が無いならと。

確かにね…、「アンタの国が拉致ったんだろ!?」って難癖付けて踏み込んだらヤバいかもしれないけど、今回の件はあくまで日本人同士の誘拐事件で、そのコンテナ船は利用されただけ(その船が利用されたのには理由があるけれど)。事件の元となった「デルナ」とも多分別の国…ですよね??どっちも中東っぽいけど。正式な手順を踏んで事情を説明して謝罪すれば、普通なら戦争とかにはならんやろ…って思うけど、話の通じない相手はいるしなぁ、難しい所ではあるけど、「自分の娘なら」どうなってでも助けたんでしょ??

真犯人・淡路は千堂大臣にだけ「咲」の居場所を話す、と告げます。

淡路と自殺した犯人女性は元夫婦で、「デルナ誘拐拉致事件」で行方不明のままである女性の父親でした。淡路は余命僅かの進行ガンに侵され、一世一代の復讐に残りの命を捧げていたのでした。

対面した大臣は淡路に形ばかりの謝罪をします。

勿論そんなものは淡路の心に届きません。

淡路は「娘の居場所を知りたければ、私を殺せ」とそそのかします。生きている限り、脳を覗くことはできないが、殺して脳を第九の捜査にかければ娘は助かると。

千堂大臣は淡路を殺害。

そして第九の捜査によりほどなく「咲」は無事に救出されました。

しかし、それこそが淡路の「真の復讐」だったと…。

ちなみに中盤で青木さんや薪さん達の奮闘により、コンテナ船に拉致された「身代わりの少女」も無事に救出されていました。

この後を書くのは流石に…と言う事で、ちょっとやめておきます。文字の色を薄くして、ネタバレOKな方のみ反転させて読んで下さい、とかも考えたんですが。

以下感想~。

3巻で薪さん、青木さんに「時々道を踏み外したような物言いをする、下手をすると犯人側に落ちていきそうな危うさがある」とか言われてましたけど…、薪さん、この巻では私には

「正義の人」

にしか見えないんですけども。そりゃ、情緒不安定な所もあるし、パワハラとか嫌味とか炸裂ではありますが、とにかく「人命」を最優先に考えてる。これ以上殉職者を出さない!!!って言ってたし。MRI(脳スキャン)の倫理に反する使われ方にも手が震える程苦悩してます。

パワハラって言っても、このお顔でそんなこと言われたら…

「いじめてくださ~~~~い!!」

ってなりそう(;^ω^)。というか、そんなにいじめてたっけ?怒鳴ったり冷た~い目で見つめられたりネチネチ嫌味言ったりするだけ(…あ、パワハラだわ。サラッと「完徹で」仕事終わらせろとか。「働き方改革」とかはこの世界には無い。実際人の生死にかかわる捜査に当たってる人が「じゃ、定時なんで~」って出来なくないですか??)で、青木さん以外はそんなに殴ったりしてないし、青木さんにとってはご褒美みたいなもんなのでOK!!

青木さん、雪子さんにも初対面でビンタされてたのに恋に落ちるとか…M確定(;'∀')。

薪さん、千堂大臣に簡単に吹っ飛ばされる「非力な少女」みたいに見えて、ラストは千堂からの拳を片手で止めてて、結構強いのね!!

「season0」の方で、薪さんは「小さい割には強いけど、弱いよ!!」って言われてたけど、勿論警察官ですから体術の心得はあるわけで…、千堂が「大臣」である以上は手出しできず、あえて避けたりもしなかったんでしょう。

コンテナに監禁されている少女が「咲」ではないと知った時の、千堂のあまりの身勝手な手の平返しと人命軽視の言動に衝撃を受けた薪さんは、大臣室から出た後泣き崩れます。

顔を背ける仕草のなんと可憐な30男…。

少女の救出と国の安全の両方を考えての事だったのにね…。もしかしたら、こんな事なら知らせなきゃよかった、って後悔の涙でもあるんでしょうか…??

この後数ページにわたって薪さん、顔を押さえているので顔が見えなくて、短髪にシンプルなスーツ姿なのに、薪さんの美しさが半端ないんだよおぉ~~~。

その後青木さんに手をギュッとされた時の二人の手の大きさの差とか、薪さんの笑みが戻る所とか、萌キュンポイント(*´ω`*)。

コンテナ船に少女救出に向かった青木さんが負傷して帰って来た時の、震えながら青木さんに抱き着く後ろ姿も…

この時も数ページにわたって薪さんの顔が見えてない(セリフも、擬音すら無い)にも関わらず、華奢な体型や絹のように滑らかな髪だけでも、薪さんの色気ダダ漏れ。そして、どれだけ青木さんを大事に思ってるかも伝わってきて(BでLでは無いのよ、そう見えちゃうけど…多分)。

「大切な部下」ってだけでこんな風に声も出ない程に震えながらしがみつくかしら~(萌)。どうみても青木さんの方が年上に見えるのに薪さんの方が12歳上とか~(激萌)。

後ろ姿だけで感情が伝わって来たり、その場から早く立ち去りたくて?エレベーターの「閉まる」ボタンを連打したり…、さりげなく細かい描写にため息…。

青木さんの事何度もビンタしてるのにね~。も~~~、ツンツンツンツンツンツンツンデレ

あ、ビンタはある種、薪さんの「愛情表現」だから、「わたしにもビンタ下さい~~~」な気持ちになるのかしら(錯乱)?

青木さん、どうか薪さんにも

「僕は死にましぇーん!!」

って言ってあげておくれよぅ。

ちらりと見えるうなじがセクシーすぎる~。薪さん、普通に男性っぽいショートカットに見える時と、ちょっと中性的なボブっぽく見えると気があります。

どうでも良いけど私この位の髪の毛の長さにしたいんですよね…、でもこんなサラサラの仕上がりになるはずもなく…毛先ピンピンにはねて、「金太郎」になる可能性100%…。この長さだと髪の毛ってこんなに重力に従順じゃないから、好き勝手にはねるはねる。

最後に千堂への怒り心頭の薪さん。

千堂の手の平返し、最後の最後まで最悪ですから。

隣で青ざめる岡部さんもキュートです♪

確かに教えなくても良かったかもしれない「秘密」まで暴露した薪さん。薪さんも千堂に「復讐」したかったのかも。こいつのせいで青木さんが命の危険を冒す事にもなったんだし。そして「秘密」というタイトルがやはり素晴らしすぎると感じたのでありました…。

千堂大臣、「自分の娘を救う為なら殺人者になっても構わない」というのはある意味立派なのかも知れません。私が拉致された娘の立場なら…絶対見捨てられる自信があるわ~(泣)。世間でも「千堂大臣を無罪に」という署名活動が行われており、裁判員制度の元では「無罪」になる可能性もなくはない(アメリカでそういう実例があった)、という示唆がされています。

…いや、それなら5巻に出て来るおばあさんは最低でも「執行猶予」つくよなぁ~、と改めて感じましたし、あのおばあさんに対してはそうなって欲しいと本当に思います。

でも千堂大臣の実状は、世間の賞賛とはかけ離れたもので、その温度差も見どころ。

淡路の計画は非常に綿密ではあったものの、もしも

「千堂にまともな人の心があったなら」「過去の事件を本当に悔いているのなら」

成立しない物でした。でも淡路の目論見通り、千堂大臣は相変わらずのロクデナシでした。

淡路は復讐のために、何の罪もない少女二人を犠牲にしたのですから、決して許される事ではありませんが…「娘」とばっちりすぎるやろ~。

でももしかしたら、「千堂が真に悔いて」いて、復讐が成立しない事にも一縷の期待をかけていたのかも…??だったら誰も死なずに済んだのに(最初の奥さん以外は…)。

世間からは英雄扱いされて終わった千堂大臣。でも…もし「咲」が一人娘じゃなく、他にもきょうだいがいたら、簡単に見捨てたかもな~って気がします。

でもほんの少し…

「娘を見捨てても、嫁を取り換えればまた子供は作れる」

とかまでいうゲスでは無かったのは…まだマシだったかも。

実際問題、戦争が起こる可能性も0では無かった訳ですし。もしも「自分の娘であっても」、国交を優先させていれば、ある意味では筋が通っているけど、この場合は、復讐は成立してしまうのね…。

「娘を救う為なら殺人者になっても良い」はともかく「娘を救う為なら、戦争になっても良い」というのは果たして正しいのか…??

えっと、これって少女マンガなんでしたっけ??ヘビーだわぁ。

何か解りにくい上うっすいレビューで申し訳ありません。

一番のネタバレ部分を書かずにこの話のレビューを本気で書くのはちょっと…無理でした;;駄レビューのくせに凄い文字数になってしまったし。

この巻はグロ表現も殆ど出ないですし、もし1冊だけ読むとすればこの巻をお勧めします(私もまだ8巻以降は未読なんで、今までの中でですが)。

もう少しボーナスをコツコツ貯めて、次巻からも楽しみに読みます~。

最近ちょっと天候不順が多いですが、もうすぐGWですね。本当に時が経つのが早すぎて…クラッと来てますが、どうぞ皆様も楽しい連休をお迎えください!

それでは、お読みくださいまして、有難うございました!!