鈴豆そうさく日記

自作イラストやドールドレスの紹介、日々の片付けや独り言などゆるゆる綴っていきたいです。

曽祢まさこ傑作集「おむかえがくるよ」

こんにちは、鈴豆です。

先日ヤフオクで「BANANA FISH」を入手してから(20巻はラインマンガで購入しました)、続編の「夜叉」も読みたくてうずうずしてます…。あ、続編と言っても「世界観が同一」で「共通した登場人物が存在する」というだけで、主人公は別ですし、話としては完全に独立しています。「また美少年だよ~」「お前に似た男を知っている」みたいなセリフは、「BANABAFISH」を知らないと「?」とはなりますが。

これももう廃刊で古本屋さんでも置いて無いので、今度こそブックオフオンラインで「4点以上で150円引き」のクーポンを使って買おうかなぁ、と検討中だったんですが、次に入ってきたクーポンは「10点以上で200円引き」でして…え~、一冊当たりたったの20円引き…それも10点…うぅ~ん。「4点以上で~」のクーポンはアプリ新規会員へのボーナスだったのかなぁ…???

文庫版は店舗に置いてあったけどやっぱり「小さくて辛い」のです…。

「夜叉」はフラワーコミックスで全12巻なんですが、読みたいのは後半なんですね、途中まではリアルタイムで読んでたので…。伊藤英明主演でドラマやってた頃です。ただ、ドラマはかなり改変されていて…それも連載中だったからラストは全然違うものに…。

原作ラストが読めてないので、とりあえず9巻~12巻まで買って、やっぱりその前も読みたかったら次は5~8巻を買って…って思ってたんですが。

もっと原作に忠実なものをまたドラマ化してくれないかなぁ…ってうっすら期待してみるものの。

ところで「曽祢まさこ」さんというマンガ家をご存知でしょうか?多分40代以上位の女性ならご存知の方も多いのではないかと思います。「不思議の国の千一夜」とかが有名かな?私が初めて読んだのは「私が死んだ夜」という作品でした。かなり衝撃的な内容でした…(子供には厳しい話が多いのですよねぇ)。

ホラーあり、コメディあり、ファンタジーあり、社会派ミステリーあり、名作が多いです。

ラインマンガで「曽祢まさこ傑作集」という短編集が読めるのですが、その中の「おむかえがくるよ」と言う短編が面白くて切なかった…。

以下、ネタバレですので、嫌な方は飛ばして下さい!!

↓ ↓ 以下ネタバレです ↓ ↓

主人公の航は小学生。両親は小さな工場を営んでいて朝から晩まで忙しく、航と妹は優しいおばあちゃんに育てられていました。

この世界には皆が必死に買っている「十年くじ」というものがあります。

このくじはお金持ちが買占めが出来ないよう、一枚目は1万円、二枚目は10万円、三枚目は100万円という風に値段が上がっていくので、庶民は通常一人1枚しか買えません。購入には厳格な登録が必要で、親族にしか譲渡も出来ません。

くじの詳細は途中まで伏せられています。私も単純に「年末ジャンボのスペシャル高額版かな?」って思ってました。

実はこの世界では、「寿命は70歳まで」と定められていて、70歳を迎えるとお迎えの車がやって来て老人は連れて行かれます。どこへ行くのかも明記はされていませんが、おそらくは「安楽死」ではないかと推測されます。

そのくじは、お迎えの車が来るのを「延期」出来る権利が当たる物でした。

おばあちゃんはもうすぐ70歳、「くじ」を買えるのはラストチャンスです。

おばあちゃんが大好きな航は、あの手この手でお金を工面して、もう一枚くじを購入できます。それがまさかの「特別賞」の前後賞で「二十年」の大当たりでした。

ちなみに、一等は十年、二等は五年、三等は一年、「お迎え」が来るのを延期できるそうで、三等であればそこそこ当たる人もいるようです。

「特別賞」は無期限の延期、「前後賞」は二十年の延期です。

お迎えの車が来るのを「延期」出来るだけなので、その間に自然に病気などで亡くなる場合もあります。

それでもおばあちゃんは、親代わりに家族5人分の家事もこなせていますし、まだまだお元気な様子ですし、航は大喜びですが、両親は何故か戸惑いの表情。

優しそうな両親ですがまさか…って疑ったのですが…

おばあちゃんは70歳の誕生日を迎え、その夜、航に「明日お迎えが来る」事を打ち明けます。

何で!?くじが当たったのに!!

実はおばあちゃん、くじを「長生きしたい大金持ち」に売っちゃっていたのです。親族以外に譲渡出来ない決まりですから、おばあちゃんはその相手と偽造結婚をしていました。くじが当たってからの結婚では認められないので、役人を買収し、もっと以前に結婚していた事にして。

両親の営む工場は大きな借金を抱えていて、実は夜逃げや一家心中も考える程に危険な状況だったのです。

もしかして両親の差し金で…??って疑ってしまった所ですが、おばあちゃんも両親もとても良い人たちでした。

借金を返した残りは子供二人の教育費に当てて今後の助けになるだろうし、自分の20年を、子供や孫のために役立ててくれた方が自分にとっても嬉しい事だと、おばあちゃん本人強く望んだ事の様でした。

お迎えの車に向かう時、妹は「良い子にしてるから行かないで!!」って大泣きします。おばあちゃんは穏やかに車に乗り込み、その車を航はいつまでも見つめていた…という静かな終わりでした。

確かに生活苦な上、今後介護とかで家族が苦しむかも、って考えると、「行かないで!!」って泣かれながら旅立てるのは…幸せなのかも、って感じるけれど。

寿命が70歳、若い頃からしたら「十分じゃない?」「老後資金を心配しなくて済んで良いやん」って思っていた所ですが…、早いよね。今の私からすると「後○○年…」ってリアルにカウントダウンが出来てしまって…、ゾワゾワッと来ました。

それもこのおばあちゃんは健康で、家族の役にも立っている。病気で何も出来なくて、生きているだけでもとんでもない苦痛が伴う、って状況ならまだしも…健康な70歳を安楽死は流石に辛いです。

そして「夜叉」の殺人ウィルスでもそうですが、「特権階級はワクチンが打てる」というやつ、似たようなシステムがこちらでもありまして、著名人などに与えられる「名誉国民章」というものがあると、お迎えの車は一生来ないんだそうで、それが貰えるのは「半分以上は政治家」らしいんですね。

あ~、絶対裏取引あるやつやん~~~。

短編ですから、その「絶対黒そうな政治家たち」を炙り出して復讐だとかその制度を壊滅させるといったバトル展開は勿論なくて、そういう制度が無ければ確かに困るよね…という社会問題がある現実に置かれている私たちが、だけど実際に親しい人を見送る時が来たら?まだ全然元気なのに、お迎えが来た時の気持ちを考えたら…?と考えさせられるお話でした。きっと、答えは絶対出せないんですよね。

答えがパッと出るのなら、高齢化社会だとか問題にならないもの。

「特権階級は免除」というのは絶対におかしいとは言えるけれど。

「年寄りを抹殺しようぜ」みたいなのって、何十年も前から、不変のテーマではあるんですよね。藤子不二雄短編集でも似たようなのがあって、それも確か、老人はただ生殺しにされるのを黙って待つしかない…、という「大どんでん返し」も「救い」もない、切ないラストで。正直そんな真綿で絞め殺される位なら、安楽死の方が…って思うのだけれど、藤子不二雄の方は、もしかして自分がお金をガッツリ持っていて、福祉に一切頼らない前提であれば、老人も生きては行ける…って事かな?一切の福祉を打ち切る、って事なので。

でもそれはそれで格差社会よね、経済格差と健康格差。若いうちからとにかく貯蓄貯蓄に走るしか無くなって、それこそ「生きる意味って…」という人生になるのが目に見えてる‥。

藤子不二雄の「定年退食」は何と1973年の作品。その頃って第二次ベビーブームじゃなかったっけ?その時代に「高齢化社会」は既に問題になってたんですね…。子供がいっぱい生まれてもダメなら、どうしようもなくない??

なんだか、未来に希望が持てないんです。皆さんそうだと思うんですけども。

本当に「皆が若返って、全ての病気が治るようになって、老人も20代か30代の体力に戻る」という時代にならないかなぁ。若くて健康で働けるのなら、何とでも生きて行けるはずですし。

人間の脳の寿命は200年、と言われているらしいので、「脳の寿命が来た時が寿命」って事で、それまではみんな元気で働けて…だったら介護問題とかも出ないし。皆が「不老不死」になったら、人口が増えっぱなしになるからそれはそれで別問題が出るけども。

「おむかえがくるよ」は、無料連載で読めますので、ご興味があれば是非。

他の短編もとても面白いです!!

この先生の「ふたりめの神話」は逆に人口爆発を抑えるための「一人っ子政策」の話なんですが、以前の中国のそれよりももっと過激な制度の中で、二人目の子供を必死に育てる家族のお話です。これも子供が読むには中々ショッキングな内容でして…、昔のマンガって「本当に子供向け?」って思うような、重い物が結構多かった気もします。

読み返したいなぁ~って思って実家探したら無かった…。あれ?捨てたっけ???捨てた覚えは無いのですけど…。「捨てた覚えがないのに無くなったマンガ」が結構ある…(;一_一)。

それでは、また色んなマンガを読んで、感想など書けたらなぁ、って思います。

それでは、もう3月?早い!!週末はまた真冬並みに冷え込むみたいだし、全然3月って気がしない…。もう少しすればちょっとは暖かくなってくるでしょうし、花粉などにはお気を付けになって、皆様も楽しい春をお過ごしください。

お読みくださいまして、有難うございました!!